関係性の良い会社が、有能な人材をつなぎとめる理由

人が辞めない組織は、「制度」より「関係性」でできています。

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採用よりも難しい「定着」の課題

「せっかく優秀な人を採用しても、3年以内に辞めてしまう」
「スキルのある社員が、より良い環境を求めて転職してしまう」

多くの企業が抱えるこうした課題。採用活動に注力する一方で、人が“辞めない”組織づくりの難しさを痛感している企業は少なくありません。

報酬、福利厚生、制度——もちろんそれらも大切ですが、離職を左右する本質的な要因は、実は「人と人との関係性」にあるのです。

「関係性の質」が離職率を左右する

人は、仕事そのもの以上に、「誰と」「どんな関係性で」働くかによって、その場への愛着や貢献意欲が大きく変わります。

とくに有能な人材は、転職市場においても引く手あまたです。

その中で「ここで働き続けたい」と思わせるには、報酬だけではなく、関係性の良さによる“居場所感”と“心理的な充足”が鍵になります。

では、関係性の良い会社とはどのような職場なのでしょうか。

関係性の良い職場に共通する3つの特徴

  1. 心理的安全性がある
     意見が言いやすく、違いを歓迎し合える文化がある。
  2. お互いの貢献に目を向けている
     フィードバックや感謝が日常的に交わされており、承認が可視化されている。
  3. 個人の価値観と会社の理念が重なっている
     自分の仕事が誰の役に立っているか、組織の目的と自分の想いがつながっている。

こうした関係性がある職場では、「自分はこの会社に必要とされている」「ここでなら成長できる」という感覚が自然と育まれます。

「成功循環モデル」で見る、辞めない組織の仕組み

経営学者ダニエル・キムは、組織の成果を高めるメカニズムとして、以下の成功循環モデルを提唱しました。

関係の質 → 思考の質 → 行動の質 → 結果の質 →(関係の質へ戻る)

このモデルに当てはめると、関係性が良い職場では、前向きな思考が生まれ、協力的で挑戦的な行動が増え、結果的に成果が出やすくなります。そして成果が出ることで、さらに関係性が強化される——この好循環が生まれるのです。

この循環の「起点」にあるのが、“関係の質”。だからこそ、辞めない組織をつくるには、ここから始める必要があります。

関係性を高める、現場での具体的なアクション

では、実際に現場で関係性の質を高めるには、どのような取り組みがあるのでしょうか。

① 1on1ミーティングの「再設計」

評価の場ではなく、対話の場として設計し直します。

「最近、自分で誇らしかった行動は?」「来月やめたい仕事は?」など、未来志向の問いを用い、

考えを深める“思考の伴走”にします。

② フィードバックの質を上げる

伝える順番は、事実 → 影響 → 期待

例:「〇〇の提案が採用された(事実)。みんなの議論が深まり、次の企画が前に進んだ(影響)。

今後も違う視点で提案を期待しています(期待)」

③ 理念との“接続”をつくる

仕事の中に、会社の理念との接点を見いだす問いを入れます。
「この業務は、誰のどんな“しあわせ”に貢献しているだろう?」
その問いが、働く意味を再確認させ、内発的動機を強めます。

④ 感謝と承認の「見える化」

SlackやLINEでのピア・ボーナス(感謝メッセージ+小さな報酬)や、

朝礼での「ありがとうタイム」など、小さな称賛を仕組みにしてみましょう。

離職率を減らすために、今すぐできること

関係性の改善は、時間と信頼の積み重ねが必要です。
ですが、始めの一歩はシンプルです。

  • 短い1on1を月1回から始める
  • フィードバックの型を一つ決めて使う
  • 理念を語るミニ朝礼を週1でやってみる

そして、90日後には「関係性が変わった実感」を持てるように設計してみてください。
関係性の質が高まれば、きっと「ここで働きたい」と思う人が自然と増えていきますよ。

投稿者プロフィール

Hideaki
Hideaki
人生理念は「やさしい世界をつくる」
しあわせ組織クリエイターとして、人のしあわせを実現するお手伝いをしています。
保有資格:国家資格キャリアコンサルタント、メンタルヘルスカウンセラー、ITコーディネーター、情報セキュリティスペシャリストなど
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