いしくろひであき事務所キャリアコンサルタント × IT導入支援
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2025年6月15日

キャリアコンサルティングとは?人材育成と定着に活かす実務ポイントを解説

キャリアコンサルティングの基本的な意味と、企業が人材育成や定着支援に活かす時の考え方を、人事担当者・経営者向けに整理します。

キャリアコンサルティングを人材育成に活かす流れを図解したアイキャッチ画像

この記事でわかること

  • キャリアコンサルティングの基本的な意味がわかります。
  • 国家資格キャリアコンサルタントと社内面談の違いが整理できます。
  • 企業が人材育成や定着に活かす時の考え方がわかります。
  • 導入時に気をつけたい運用ポイントがわかります。

キャリアコンサルティングとは?

キャリアコンサルティングとは、働く人の職業選択、職業生活設計、能力開発や能力向上に関する相談に応じ、助言や支援を行うことです。

厚生労働省は、キャリアコンサルティングを通じて、働く人が目指すキャリアの道筋を具体化でき、企業にとっても従業員の仕事に対する意識向上、人材の定着、組織の活性化につながると説明しています。

企業で考える時は、単に社員の悩みを聞く場ではありません。本人の希望、現在の役割、今後必要な能力、会社として期待する方向性をすり合わせるための支援だと捉えると実務に落とし込みやすいです。

国家資格キャリアコンサルタントとの違い

キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行う専門家です。日本では登録制の名称独占資格であり、5年ごとの更新、守秘義務、信用失墜行為の禁止などが定められています。

一方で、企業内で上司や人事担当者が行うキャリア面談は、必ずしも国家資格キャリアコンサルタントによる面談とは限りません。社内面談には、人事制度の説明、配置希望の確認、育成計画の相談など、会社運営上の目的も含まれます。

項目 キャリアコンサルティング 社内のキャリア面談
主な目的 働く人の職業生活設計や能力開発を支援します。 配置、育成、評価、希望確認などに活かします。
担い手 国家資格キャリアコンサルタントなどの専門家が担う場合があります。 上司、人事担当者、外部専門家などが担います。
注意点 守秘義務や専門性への配慮が必要です。 評価面談と混同しない設計が必要です。

制度や資格要件は変更される可能性があるため、資格や法的な扱いを説明する場合は、厚生労働省などの公式情報を確認してください。

人材育成にどう役立つのか

キャリアコンサルティングは、社員の希望を聞くだけで終わると効果が出にくいです。人材育成に活かすには、本人の内発的な関心と、会社が求める役割や能力をつなぐ必要があります。

人事課題 活かし方
若手の定着 入社後の不安や期待とのずれを早めに把握できます。
中堅社員の停滞感 今後の役割や専門性の広げ方を一緒に整理できます。
管理職候補の育成 管理職になる意味や本人の不安を言語化できます。
リスキリング 学ぶ目的を本人のキャリアと事業方針に結びつけられます。

大切なのは、面談結果を本人任せにしないことです。面談後に、上司との1on1、研修、配置、挑戦機会につなげる設計が必要です。

経営者・人事担当者が見るべきポイント

経営者や人事担当者は、キャリアコンサルティングを福利厚生だけで考えない方がよいです。事業戦略に必要な人材を育て、離職を防ぎ、社員が自分の成長を会社の中で描けるようにする仕組みとして考えると効果が出やすくなります。

見るべきポイントは次の通りです。

観点 確認したいこと
対象者 新入社員、中堅、管理職候補、シニア層など、誰に必要かを決めます。
目的 離職防止、育成、配置、リスキリングなど、目的を明確にします。
守秘性 個人の相談内容をどこまで会社に共有するかを事前に決めます。
実行後 面談結果を研修や配置、上司面談につなげます。

特に守秘性は軽く扱わない方がよいです。社員が安心して話せない設計では、本音が出ず、人事施策にも活かしにくくなります。

最初に試しやすい導入方法

最初から全社員向けに始めるより、目的を絞って小さく始める方が失敗しにくいです。

たとえば、入社3年目前後の若手社員、管理職手前の中堅社員、定年後の働き方を考えるシニア社員など、課題が見えやすい層から始める方法があります。

実施する時は、次の流れが現実的です。

  1. 人事課題を一つ決めます。
  2. 対象者と実施時期を決めます。
  3. 社員に目的と守秘性を説明します。
  4. 面談後に本人が行動計画を作ります。
  5. 上司や人事が支援できる範囲を確認します。

面談だけで終わらせず、本人の行動と会社の支援をセットにすることが大切です。

使う時の注意点

キャリアコンサルティングは、社員の本音に触れる取り組みです。会社が聞きたいことだけを聞く面談にしてしまうと、信頼を損なう可能性があります。

評価や異動の判断材料として使う場合は、目的と扱う情報を明確に分ける必要があります。本人の相談内容を無断で上司や経営層に共有する運用は避けるべきです。

また、制度説明や研修だけではキャリアコンサルティングとは言いにくい場合があります。専門家に依頼する場合は、資格、経験、守秘義務、報告範囲を確認しましょう。

まとめ

キャリアコンサルティングは、社員のキャリアを本人任せにせず、会社の人材育成や定着につなげるための有効な支援です。経営者や人事担当者にとっては、社員の希望と会社の期待をつなぐ接点になります。導入する時は、目的、対象者、守秘性、面談後の支援を明確にし、実際の育成施策につなげることが重要です。

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